Japanische Klassiker mit Furigana
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しょうせつ えんちょう
小説 圓朝
正岡 容
Lesen Sie 小説 圓朝 (しょうせつ えんちょう) von 正岡 容 (まさおかいるる) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 163.270 Zeichen · 325 Bildschirme
「ア……ア、圓……朝……」
とぎれとぎれにこれだけいった、ろれつの乱れた微かな声で。世にも懐しそうにガクガクンと顎が動いた。
「……」
それだけでもう圓朝は胸がいっぱいになってしまった。許して、許してくれている師匠が、ポロポロ涙がこぼれてきてならなかった。
「師匠、ねえ師匠、圓朝です、お見舞に……お見舞に伺いました……どうか……どうか昔の私の至らないことは……」
耳許へ口押しあててこういった。そういううちも、果てしなく涙はこぼれてきていた。
「……」
そのたんび師匠は顎を動かした、分って、ああ分っているよ、いるともさというごとく。それがまた圓朝のことにして、どんなにうれしかったことだろう。
「あの……あの……お前」
そのときだったあのがあおと聞こえる発音で、やがて師匠は喘ぎながらこういった。
「あの……あの……圓、朝や、むか、昔のことは何も……かも……」
またたよりなく二、三度顎を動かして、
「ゆ、許してくれ……」
「モ、もったいない、な、何をおっしゃ……」
弾けて飛び上がらんばかりに、ヒシと師匠の身体へむしゃぶり付いてゆくと、
「師匠から……師匠から……そんな私お言葉いただいてしまっては……」