Japanische Klassiker mit Furigana
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しょうせつ えんちょう
小説 圓朝
正岡 容
Lesen Sie 小説 圓朝 (しょうせつ えんちょう) von 正岡 容 (まさおかいるる) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 163.270 Zeichen · 325 Bildschirme
今少し咽喉の渇きを感じだしてきたくらい、圓朝は落着きを取り戻してきた。手触りで床の間の水さしを掴まえた。口のほうから持っていき、ククククと喇叭飲みにした。いたいた心が鎮まってきた。ばかりか、ジーンと澄んでさえきた。
……三座の芝居は焼けてしまった、としたら緞帳芝居だって焼けたろうし、焼けない迄も三座の役者たちが立て籠ってしまうだろう、一時凌ぎに。
幸いにして世の中にまたいつか太平の風が吹いてきたとて、昼間自分がこの座敷で小糸相手に夢見たような芝居小屋を買い切っての大見得なんか、とても五年や十年では、切れそうもなくなってしまった。
それどころじゃない、米が買えるか、醤油が買えるか、食ってゆけるか、ゆけないか、生きるか死ぬかの見極めさえ、てんでいまではめちゃめちゃになってしまっている。
駄目だ、もうあんな夢は――。
だが――。
と、しずかに、心で心へ訊き返されるほど圓朝は、今少し前とは別人のごとく、深沈としたものを身に付けてきていたのだった――。
だが――誰もが食べていかれないとしたときお前は一体どうしよう、何をもて生き抜いていこうというのだ。
……何もない、かもない。