Japanische Klassiker mit Furigana
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しょうせつ えんちょう
小説 圓朝
正岡 容
Lesen Sie 小説 圓朝 (しょうせつ えんちょう) von 正岡 容 (まさおかいるる) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 163.270 Zeichen · 325 Bildschirme
「そ、それはいかん」
あわてて玄正、
「そ、そのほかで……そのほかで何か」
「……ありませんよ」
低く突ッぱねるようにいった。
「しかし……しかしお前何か……」
「ありません」
「あるだろうしかし」
「……いいえ。ありません……」
「しかしほんとにお前……」
「ないったらないんです」
問答無益という風に目を閉じてしまったが、やがて目を閉じたままで、
「ヘッ、俺、ほんとに芸のほかにやりたいものがこの世の中にあったりしておたまりこぶしが……」
そのまんまゴロリと寝返り打つと、反対のほうを向いてしまった。いい知れぬ怨めしさに、危うく涙がこぼれようとしてきた。
「……フーム……」
ますますほんとうの突き詰めた心のほどを見せられてしまって玄正は、ますます当惑してしまった。
今までこんなにも自分は、この腹違いの弟がひとすじの強い強い心を内に持っていようとはつゆしらなかった。たかが親父の血を受けたぐうたらべくらいにおもっていた。なればこそ何とかまっとうの道へ引き戻して一人前の人間にしてやろうといろいろ心を砕いていたのだった。
それが――それが……。
怠け者でも、半人足でも、片輪でもまた悪人でもなかったのだ、この弟は。