Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しょうしょうしげもとのはは

少将滋幹の母

谷崎 潤一郎

Lesen Sie 少将滋幹の母 (しょうしょうしげもとのはは) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 83.234 Zeichen · 160 Bildschirme

Aozora Bunko

もお寄越しになって下さい、と、泣かんばかりの口調でしたゝめたのを持たせてやると、女童はついぞないことにニコ/\しながら戻って来て、

「今日は御返事がありましたのよ」

と、一通の文を渡した。平中が胸をときめかしつゝ押し戴いて受け取ったことは云う迄もないが、急いで封を開いて見ると、小さな紙きれが一つ這入っているだけであった。なおよく見ると、「見たと云う二文字だけの御返事でもお寄越しになって下さい」と書いてやった、さっきの彼の文の中の「見た」と云う二字のところを破いて入れてあるのであった。

これにはさしもの平中も開いた口が塞がらなかった。彼も今まで数々の女に恋をしかけたが、こんな意地の悪い、皮肉な相手に懸ったことはなかった。かりにも此方は美男の聞えの隠れもない平中である。大概な女は彼だと分れば訳もなく靡いてしまうのが常で、今度のように手きびしい扱いをした者は一人もなかった。で、いきなりピシャリと横面を張られたような気がして、さすがにそのあと暫くは寄り着こうともしなかった。

それから二三箇月の間と云うものは、女の所に用がないとなると、現金なもので、左大臣への御機嫌伺いも自然怠りがちにしていた。