Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
しょうしょうしげもとのはは
少将滋幹の母
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 少将滋幹の母 (しょうしょうしげもとのはは) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 83.234 Zeichen · 160 Bildschirme
いかさまそこの懸金が外れていては、人が這入って来る懸念があるので、男が仕方なく手を放すと、女は起きて、上に纏っていた衣を脱ぎ、単衣と袴とを着たなりで出て行った。その間に平中は装束を解いて臥て待っていたが、たしかにカタリと懸金を掛ける音がしたのに、どう云う訳か女はなか/\戻って来ない。間仕切と云ってもついそこであるのに、一体何をしているのか。………そう云えば、今懸金の音がしたあとで、女の足音がだん/\奥へ遠のいて行くように聞えたが、それきりぱったりと此の室内に人のけはいがしなくなった。何だか様子がおかしいので、
「どうかなされたのですか、………もし、………」
と、小声で云ってみたけれども、答がない。
「もし、………」
と云いながら、彼も起き上って、襖の際へ行ってみると、怪しからぬことには此方側の懸金は外れていて、向う側の懸金が下りているのである。女は隣の部屋へ逃げて、向うから締まりをして、何処かへ行ってしまったのであった。
又背負い投げを食わしたのか。………平中はそのまゝ襖に寄り添うて茫然と闇の中に立ちつくした。それにしてもこれはどう云う意味であろう。こんな夜更けにわざ/\人を自分の閨まで誘い入れて置きながら、いざと云う時に姿を晦ましてしまうとは。