Japanische Klassiker mit Furigana
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しょうしょうしげもとのはは
少将滋幹の母
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 少将滋幹の母 (しょうしょうしげもとのはは) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 83.234 Zeichen · 160 Bildschirme
嘗て太宰権帥に任じていたことがあるので、帥の大納言と呼ばれていたが、その大納言になったのは実に延喜二年の正月、彼が七十五歳の時であった。彼にたゞ一つの取柄と云えば、非常に健康に恵まれていたことで、肉体的精力が倫を絶していたであろうことは、そう云う高齢で二十何歳と云う夫人を擁し、男子を生ませていた一事を以てしても想察するに足るのである。これは餘談であるけれども、昭和の現代に於いて、つい此の間、六十八九歳になる或る高名な老歌人が、四十何歳かの某夫人と「おいらくの恋」とやらをして新聞や雑誌に艶種を提供し、大いに世間を騒がしたことはなおわれ/\の記憶に新たなところである。当時此の老歌人の知己友人たちの間で一番問題になったのは、彼の体力がよく堪え得るであろうかと云うことであったので、或る物好きな男がそっと夫人に質して見るなどのことがあったが、その結果、夫人は少しもそう云う方面に不満を感じていない事実が明かにされ、われ/\は改めて老歌人の精力を羨みもすれば驚きもした次第であった。現代に於いてさえこう云う組み合わせの性生活は類稀なことゝして世の視聴を惹くのであるから、此の老歌人よりなお八九歳の高齢で、五十も歳下な婦人を妻にしていた国経のようなのは、平安朝の昔としたら餘程珍しいことではあるまいか。