Japanische Klassiker mit Furigana
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しょうしょうしげもとのはは
少将滋幹の母
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 少将滋幹の母 (しょうしょうしげもとのはは) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 83.234 Zeichen · 160 Bildschirme
………」
老人は白氏文集を愛読していて、興に乗ずると、こんな工合に文句を暗誦するのであるが、これが出る時はそろそろ酒が循って来た證拠であった。
「………洛陽の児女面は花に似たり、河南の大尹頭は雪の如し。………」
老来量を節してはいても、もと/\下地は好きな方で、過せばいくらでも過せる国経は、今宵は自分が主人役として容易ならぬ人を迎え、粗相があってはならぬと思うところから、最初のうちは努めて引き締めていたのであったが、何分胸中に抑えきれない喜びが溢れてい、而も客人たちの方から頻りに杯を強いられるので、いつか心の緊張が弛んで、上機嫌になって行った。
「いや、頭は雪の如しでも、御精力のお盛んなことはお羨しい限りですな」
そう云ったのは式部大輔の菅根であった。
「わたくしなどは、老人と申しましても明けて五十歳になったばかり、御老体から見ますれば孫のようなものですが、近頃めっきり衰えを感じておりますよ」
「そう云って下さるのは忝いが、もう此の老人もとんと駄目でして、………」
「駄目とは何が駄目なのです」
と、時平が云った。
「何も彼も駄目でございますが、二三年来特に駄目になったものがございましてな」