Japanische Klassiker mit Furigana
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しょうねん
少年
Lesen Sie 少年 (しょうねん) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.225 Zeichen · 31 Bildschirme
」
「だって顔を出したのが見えたんだもの。」
「何を云っている?」
父は何と思ったか保吉の額へ手のひらをやった。それから急に保吉にもつけ景気とわかる大声を出した。
「さあ、今度は何を映そう?」
けれども保吉は耳にもかけず、ヴェネチアの風景を眺めつづけた。窓は薄明るい水路の水に静かな窓かけを映している。しかしいつかはどこかの窓から、大きいリボンをした少女が一人、突然顔を出さぬものでもない。――彼はこう考えると、名状の出来ぬ懐しさを感じた。同時に従来知らなかったある嬉しい悲しさをも感じた。あの画の幻燈の中にちらりと顔を出した少女は実際何か超自然の霊が彼の目に姿を現わしたのであろうか? あるいはまた少年に起り易い幻覚の一種に過ぎなかったのであろうか? それは勿論彼自身にも解決出来ないのに違いない。が、とにかく保吉は三十年後の今日さえ、しみじみ塵労に疲れた時にはこの永久に帰って来ないヴェネチアの少女を思い出している、ちょうど何年も顔をみない初恋の女人でも思い出すように。
六 お母さん
八歳か九歳の時か、とにかくどちらかの秋である。陸軍大将の川島は回向院の濡れ仏の石壇の前に佇みながら、味かたの軍隊を検閲した。