Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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おくじょうのきょうじん

屋上の狂人

菊池 寛

Lesen Sie 屋上の狂人 (おくじょうのきょうじん) von 菊池 寛 (きくちかん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.649 Zeichen · 16 Bildschirme

Aozora Bunko

苦しまぬ前に立ち去るがええぞ。

義太郎 金比羅さんの声はあなな声ではないわい。お前のような女子を、神さんが相手にするもんけ。

巫女 (自尊心を傷つけられて)今に苦しめてやるから待っておれ。土狐の分際で神様に悪口を申しおるにくいやつじゃ。

(吉治、青松葉を一抱え持って来る。およし、おろおろしている)

巫女 神さんの仰せは大切に思わぬと罰が当りますぞ。

(義助、吉治を相手に不承不承に松葉に火をつけ、厭がる義太郎をその煙の近くへ拉して行く)

義太郎 お父う何するんや、厭やあ、厭やあ。

巫女 それをその方の声じゃと思うと燻べにくい、皆狐の声じゃと思わないかん。そのお方を苦しめている狐を、苦しめると思うてやらないきません。

およし なんぼなんでもむごいことやな。

(義助、吉治と協力して顔を煙の中へ突き入れる。その時、母屋の方で末次郎の声がきこえる)

末次郎 (母屋の内部から)お父さん、おたあさん、帰って来ましたぜ。

義助 (ちょっと狼狽して、義太郎を放してやる)末が帰って来た。日曜でないのにどうしたんやろ。

(末次郎、折戸から顔を出す。中学の制服を着た色の浅黒い凛々しい少年。異状な有様にすぐ気がつく)