Japanische Klassiker mit Furigana
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いけぶくろのみせ
山之口貘詩文集
山之口 貘
Lesen Sie 山之口貘詩文集 (いけぶくろのみせ) von 山之口 貘 (やまのくちばく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 44.477 Zeichen · 93 Bildschirme
かくて、ぼくは注意人物第一号の中学生になってしまって、以来この意識は影となってぼくにまつわりついたのである。
二年生になったとき、新入生に喜屋武というのがいた。ぼくは自分からすすんで、この喜屋武とつき合って出来るだけ親しくした。かれにはグジーという名の姉があったからなので、本心はグジーに近づく手なのであったが、いかにも未来の弟を得たような気分になって、ついにその家にも出入りするようになり夢見ごこちにしばしば眼の前にグジーの顔を見ることが出来たのである。
しばしばはやがて、雨の日も風の日もどころではなくなって、台風の日も、びしょぬれになってまで毎日毎日喜屋武を訪ねて、長時間をかれの家で過ごした。しかし、グジーと話をする機会はまずなかった。意識的にその機会をつくらないからでもあった。グジーと話をする機会をつくっては、喜屋武は勿論のこと、その家の人達に、ぼくの本心がばれそうなのでそれを警戒したのである。なにしろ、遊ぶにも勉強するにも、男は男同士、女は女同士の習慣に従っていた時代なのでなおさらのことなのであった。しかし、男女が共にあそびたいことはいつの時代の男女も同じなのであって、未だ男女別の時代であった大正の中期では、密会の機会をつくらないことには男女が共にあそぶことは気のひけることなのであった。