Japanische Klassiker mit Furigana
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いけぶくろのみせ
山之口貘詩文集
山之口 貘
Lesen Sie 山之口貘詩文集 (いけぶくろのみせ) von 山之口 貘 (やまのくちばく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 44.477 Zeichen · 93 Bildschirme
×月×日 月
×月×日 月
朝から雨。
天井の出入口まで、すっぽりとシイトを覆い、石油ランプの古ぼけた光のなかに、僕らは土竜のように一日中船室に閉じこもっていた。
ひるめしの時、六さんに、僕は炊事上の注意など受けた。水の使い方があんまり荒すぎるとの言い分だった。
亀戸や竪川での場合は、溝水だから使えないが、ここのは潮水できれいだから、米も食器もお新香も、潮水で洗えと言う。いよいよダルマ生活の伝統に触れて来たのかと思うと、僕の食欲さえがいささか鈍る様子であった。事実、潮水を汲もうとすれば、下ろしたバケツのぐるりを、くるりと一廻わりなどして見せるかのように、なまなましい排泄物や塵芥やらが漂うていることも稀れなことではない。いくら潮水でもそれはきたないんだからと、一応の反駁を僕は試みたのである。しかし六さんが言うのには、土の上ではあるまいしそんな物は流れてしまうんだからあとはきれいだと逆襲し、更に彼は、潮水でといだお米がおいしいんだと言い張った。
日記を書いていると、書いているものを六さんがのぞいた。朗読してきかせると、六さんという自分の名をきく度に彼は微笑するのだった。