Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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やまぶきちょうのさつじん

山吹町の殺人

平林 初之輔

Lesen Sie 山吹町の殺人 (やまぶきちょうのさつじん) von 平林 初之輔 (ひらばやしはつのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.530 Zeichen · 37 Bildschirme

Aozora Bunko

三四郎は嘉子の小さい頭の中で、良心が彼女をせめさいなんでいるさまを想像していじらしくなって来たが、それと同時に、あくまでも自分の犯行をつつんで、表面平気を装うているらしい彼女の大胆さがにくらしかった。

いずれにしても、光子の家で、へまな証拠をのこして来たことを彼はかえすがえすも後悔した。あれがもとで足がついて、嘉子の犯罪が発覚するようなことになったら大変だと彼は思った。もしもの場合には、証拠をのこしておいたのを幸いに、自分ですべての罪をきてやろうかとも考えた。しかし、そんなことをしたところで嘉子の身は矢張り破滅だ。彼女は、自分に罪をきせてだまっているような女ではない。矢っ張りこのまま何事もわからず、闇から闇に葬られてしまえばよいがなあ――

彼が妄想にふけっているうちに、いつのまにか眠っていたらしい嘉子の唇がその時突然動いた。

「許して下さい、光子さん。あーれ、光子さん――」

三四郎は飛び上(あが)るほどびっくりして、

「どうしたんだ、おい」

と次の文句を聞くのがおそろしさに、嘉子の肩の辺(あたり)をつかまえて揺(ゆす)り起した。嘉子はびっくりして眼をさました。