Japanische Klassiker mit Furigana
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やまぶきちょうのさつじん
山吹町の殺人
平林 初之輔
Lesen Sie 山吹町の殺人 (やまぶきちょうのさつじん) von 平林 初之輔 (ひらばやしはつのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.530 Zeichen · 37 Bildschirme
靴を盗んだ奴(やつ)は、靴をかくしておけば逃げ出す心配はないと単純に考えて、その間に交番へかけつけて一部一什(いちぶしじゅう)を巡査に訴えたのかも知れない。そうだとすると彼は電車道までの帰りがけに、急をきいて現場へかけつける巡査とすれちがったのかも知れないことになる――考えただけでも彼は背筋が寒くなった。
――それにしてもあの女はかわいそうなことをしたものだ――彼の頭は急に別なことを考えはじめた。上野広小路(うえのひろこうじ)で神明町(しんめいちょう)行きに乗りかえてから、俄(にわか)に混雑して来た電車の中で、彼は過去二年間にまたがる、被害者との関係を次から次へと回想しはじめた。
関係! といっても、まことに他愛のないものではある。思春期の男子に通有の、一種の女性崇拝とでもいった心的状態が、偶然に崇拝の対象として彼女をとらえたまでだったのだ。一体男子がこういう心的状態にあるときは、崇拝の対象となる女性には殆(ほと)んど資格はいらないと言ってもよい。ただ人なみの容貌とほんのちょっとしたインテリジェンスの閃(ひら)めきとをさえもっておればそれで沢山だ。