Japanische Klassiker mit Furigana
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やまおもうこころ
山想う心
松濤 明
Lesen Sie 山想う心 (やまおもうこころ) von 松濤 明 (まつなみあきら) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 1.652 Zeichen · 4 Bildschirme
星の鈍くまたたく夜、麦田の上を身を切るような風が渡る。外套の襟を深く立てて東京へ行く一番列車に乗るべく急ぐ田舎道は、霜柱が夜目にも白く、ざくりざくりと足の下に砕ける音を聞いていると、そぞろ山が思い出されてくる。こんな夜の山の寒さはまた格別であろう。それを思えば家にいて温かいこたつに当っている方が数等楽な理であるが、行けないとなると山想う心は一入、切ないものがある。何故こうも山が想われるかと、ふと己が心に問うて見る。
山へ登るには多少とも労苦を伴う。しかし、登ろうという心は労苦を愛する心では決してないであろう。やむを得ぬ場合を除いては労苦をつとめて避けるのが人情である。
「困難な登攀」を標榜する人たちでも、困難な登攀を少しでも楽に果たすことを考えているのであり、所詮は「楽な登攀」をしか思ってはいないのである。かと言って、それはもとより単純に安楽を求める心でもないであろう。シーイング、岩遊びの場合でもそうであるが、ことに登山の場合には一度目指された頂きはあくまでも追求されねばならず、いい加減でやめてしまうわけにはいかない。登山がスポーツとしての分野を持ちながら、なお全的にはスポーツといわれぬ理由もここにある。