Japanische Klassiker mit Furigana
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ぎゅうじん
山月記・李陵 他九篇
Lesen Sie 山月記・李陵 他九篇 (ぎゅうじん) von Nakajima Atsushi (中島 敦) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 41.608 Zeichen · 84 Bildschirme
船がいよいよ汽笛を鳴らして船首を外海に向け始めた時、ナポレオンが居並ぶ島民らと共に船に向って手を振ったのを、私は確かに見た。あの強情な不貞腐れた少年が、一体どうしてそんな事をする気になったものか。島に上って腹一杯芋を喰ったら、船中の憤懣もハンガー・ストライキも凡て忘れてしまって、ただ少年らしく人々の真似をして見たくなったのだろうか。あるいは、其処の言葉は既に忘れてしまっても、やはりパラオが懐しく、そこへ帰る船に向って、つい手を振る気になったのだろうか。どちらとも私には判らない。
国光丸はひたすら北へ向って急ぎ、小ナポレオンのためのセント・ヘレナは、やがて灰色の影となり、煙の如き一線となり、一時間後には遂に完全に、青焔燃ゆる大円盤の彼方に没し去った。
真昼
目がさめた。ウーンと、睡り足りた後の快い伸びをすると、手足の下、背中の下で、砂が――真白な花珊瑚の屑がサラサラと軽く崩れる。汀から二間と隔たらない所、大きなタマナ樹の茂みの下、濃い茄子色の影の中で私は昼寝をしていたのである。頭上の枝葉はぎっしりと密生んでいて、葉洩日もほとんど落ちて来ない。