Japanische Klassiker mit Furigana
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やぎひげへんしゅうちょう
山羊髯編輯長
夢野 久作
Lesen Sie 山羊髯編輯長 (やぎひげへんしゅうちょう) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 51.441 Zeichen · 102 Bildschirme
山羊髯編輯長
夢野久作
女 箱 師
一
「玄洋日報社」と筆太に書いた、真黒けな松板の看板を発見した吾輩はガッカリしてしまった。コンナ汚穢(きたな)い新聞社に俺は這入(はい)るのかと思って……。
古腐ったバラック式二階建に塗った青い安ペンキがボロボロに剥(は)げチョロケている。四つしかない二階の窓硝子(ガラス)が新聞紙の膏薬(こうやく)だらけだ。右手に在る一間幅ぐらいの開(あ)けっ放しの入口が発送口だろう。紙屑だの縄切れだのが一パイに散らかっている。
その前に掲示してある八頁(ページ)の新聞を見ただけで吾輩は読む気がしなくなった。旧五号の薄汚れた潰れ活字で、日清戦争頃の号外でも見るようだ。コンナ新聞が、まだ日本に残っているのかと思われる位だ。
しかし吾輩自身の姿を振り返ってみるとアンマリ大きな事も云えなかった。
東京一、日本一の東洋時報社で、給仕からタタキ上げた腕ッコキの新聞記者といえば、チョット立派に聞こえるかも知れないが、それがアンマリ腕ッコキ過ぎたのだろう。新聞記者としてアラン限りの悪い事を為尽(しつく)した揚句(あげく)、大正十一年の下半期に到って、東京中の新聞社からボイコットを喰った上に、警察という警察、下宿という下宿からお構いを蒙(こうむ)って逃げて来たんだから大したもんだ。