Japanische Klassiker mit Furigana
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やぎひげへんしゅうちょう
山羊髯編輯長
夢野 久作
Lesen Sie 山羊髯編輯長 (やぎひげへんしゅうちょう) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 51.441 Zeichen · 102 Bildschirme
ところがこの玄洋日報社はドウダ。
見る影も無いビッコの一寸法師で、木乃伊(ミイラ)同然に痩せ枯れた喘息(ぜんそく)病みのヨボヨボ爺(じじい)と云ったら、早い話が、人間の廃物だろう。そいつが煎餅(せんべい)の破片(かけら)みたいな顎に、黄色い山羊髯を五六本生やして、分厚い近眼鏡の下で眼をショボショボさせている姿は、如何に拝み上げても山奥の村長さんか、橋の袂(たもと)の辻占者(うらない)か、浅草の横町でインチキ水晶の印形(いんぎょう)を売っている貧乏おやじが、秋風に吹かれて迷い込んで来たとしか思えないだろう。吾輩みたいな、東京中の新聞社を喰い詰めた、パリパリの摺(す)れっ枯らし記者の上に立つ編輯長とは、どう割引しても思えないだろう。
ところがその山羊髯老爺(おやじ)がソレでいて、ドコか喰えない感じがする。凄いところが在りそうな気がして、たまらなく薄気味が悪いから怪訝(おか)しい。早い話が昨日(きのう)だってこの老爺(おやじ)は、タッタ一眼、顔を見合わせただけで、どこの馬の骨だか、牛の糞だか判然(わか)らない……しかも悪タレ記者である事を名乗り上げている吾輩を見事手玉に取った上に、黙って七十円の大金を呉れている。