Japanische Klassiker mit Furigana
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やぎひげへんしゅうちょう
山羊髯編輯長
夢野 久作
Lesen Sie 山羊髯編輯長 (やぎひげへんしゅうちょう) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 51.441 Zeichen · 102 Bildschirme
しかし、それから又、五十銭銀貨の事を思い出したので、翌る晩の真夜中から、一生懸命の思いで、人目を忍んで、空屋に這入って懐中電燈の光りで探しまわった結果、やっと三晩目に台所の漬物桶の底から、真黒になった銀貨二千余円を発見するとスッカリ大胆になってしまった。その金を稀塩酸で磨いて、紙の棒に包んだのを資金として、故意(わざ)と直ぐの隣家(となり)に理髪店を開いていたところは立派な悪党であった。こうしていれば誰にも判明(わか)る気遣いは無いと、安心し切っていたものであった。だから後家さんが帰って来てから自分に疑いをかけて、何度も何度も詰問しに来たけれども都合よくあしらって、知らん顔をしていたという。その大胆不敵さには箱崎署も舌を捲いていた。
発覚の端緒は現場に捨てて在った両切の煙草であった。斯様(かよう)な微細な点に着眼して、附近に住む両切煙草の使用者を片端(かたっぱし)から調べ上げた箱崎署の根気と苦心は実に惨憺たるものあり……云々という記事であったが、この最後の文句を書き添えた吾輩の文章の苦心が、如何に惨憺たるものがあるかを知っている者は我が山羊髯編輯長だけであろう。