Japanische Klassiker mit Furigana
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さんけいにいくるひとびと
山谿に生くる人々
葉山 嘉樹
Lesen Sie 山谿に生くる人々 (さんけいにいくるひとびと) von 葉山 嘉樹 (はやまよしき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 33.699 Zeichen · 67 Bildschirme
それでもいい。そんな生活にでも、病弱で乗り出させたくはない。うんそうだ。今の中に、山ん中で、猿みたいに丈夫になれ。そして、勇敢に生活に打っつかって行け。――
と、考えて、子を山に放った。
その日は、暑中休暇に入る、最後の日であった。
ランドセルの中に、休み中の練習帖だの、父兄への休み中の心得だのと一緒に、児童通信簿が入っていた。
それを大山の嬶が見ていた。
「栄養が乙よ」
と大山に言った。
「止むを得ないね。こいつあ、お前に似てるんだ」
「庶子よ。可愛想に」
「そいつも止むを得んね。先の女房が行処不明のまま、戸籍の上にガン張ってるんだからな。これも、お前の御存知の通りだ。手続きはお前に頼んであるが、お前もやろうとしないしね」
「これは、今度東京へ帰ったら、何とかしましょうね」
「いいだろう。だが、人間、生きて行くのに戸籍の事を思いつくのは、一生涯に幾度もないからね。一等おしまいには、戸籍より先に、消えっちまうんだからね」
「のんきな事ばかり言ってるわ。一体どうする心算なのよ」
「何をさ。お前に委せるよ」
「委せられたって、私にはどうしようもないじゃないの。他所の池で鯉を盗む時にはね、バタバタ水を撥ねられると困るでしょう。