Japanische Klassiker mit Furigana
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さんけいにいくるひとびと
山谿に生くる人々
葉山 嘉樹
Lesen Sie 山谿に生くる人々 (さんけいにいくるひとびと) von 葉山 嘉樹 (はやまよしき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 33.699 Zeichen · 67 Bildschirme
米の値が上がって、東北地方では、稲苗を植付けるか植付けないかに、「この年は蕨根や葛の根を早くから掘っておくがよかろう」といった風な布令が出たなどと、噂された。
そんな風な、乾燥した梅雨期に、緑屋の上の飲料水の沢に、掘鑿が突き当った。
滑っこく、水で洗われた岩肌や、岩肌に生えた苔や、凹みに生えた菖蒲に似た草だのは、一本のハッパで、跡も片もなくなって、その後には、有史以来初めて光線を見るのであるかもしれない、地殻の内皮の一部分が、ザクザクになって、ひっくりかえる。すると、この岩片の表面が無暗に拡がるものだから、小さな流れは下へ流れないで、岩片へ吸い込まれるのである。
すると、緑屋のおかみが下から上がって来るのだ。
「水がちっとも来ないが、どうしたんですか。石垣の方へ廻しているのなら、今日はこちらへ落としてもらいたいですが、半日やそこいらなら、辛抱するけれど、一滴も出ないで、一日中ってことになると、まことに悲しいでのう、お客様商売で、お客様に、風呂にも入ってもらえんことになるで」
大山は、緑屋のおかみにとっ捕まると、要求が無理でないだけに、返答にも困るし、対策に到っては、手も足も、どころではなく、水が出ないので、逃げ出そうとしたのだが、間に合わなかった。