Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あるおんなのしょうがい

嵐・ある女の生涯

島崎 藤村

Lesen Sie 嵐・ある女の生涯 (あるおんなのしょうがい) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 47.846 Zeichen · 96 Bildschirme

Aozora Bunko

生きている人にでも相談するように、お三輪はこの母の前に自分を持って行って見た。母は年を取れば取るほど、ますます疑い深くなって行ったような人であった。仮りに母がこの世に生きながらえていて、一回の震災の打撃に小竹の店の再興も覚束ないと聞いたなら、あの疑い深い人はまた何を言い出したかも知れない。三代と続く商家も少いとよく言われるように、今度の震災を待つまでもなく、旧いものの壊れる日が既に来ていたろうかとは、母のような人でなければ疑えない事であった。先代を助けて店をあれまでにした母として見たら、新しい食堂なぞに新七の手を出すことは好まないと言うかも知れない。しかし、お三輪はどこまでも新七を信じようとした。

母はまた、年をとるほど好き嫌いも激しかった。そのためにお三輪の旦那とは合わないで、幼少な時分の新七をひどく贔屓にした。母はどれ程あの児を可愛がったものとも知れなかった。この好き嫌いの激しい母が今のお富と一緒に暮しているとしたら、そこにも風波は絶えなかったかも知れないが、しかしお三輪は唯の一度もお富と争った事がない。「そうかい、そうかい」と言って何事も娵に従って来た。