Japanische Klassiker mit Furigana
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あるおんなのしょうがい
嵐・ある女の生涯
島崎 藤村
Lesen Sie 嵐・ある女の生涯 (あるおんなのしょうがい) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 47.846 Zeichen · 96 Bildschirme
お母さんの前ですが、私にはそういうものが欠けています」
「お前さんはちいさい時分から祖母さんに可愛がられて、あの祖母さんに仕込まれて、あたしなぞよりもっと東京の人だから、それでそんなことを言うかも知れないけれど……」
「ですから、私はこれまでの小竹ではないつもりですよ。人物さえ確かなら、どんな人とでも手を組んで、尻端折りでやるつもりですよ。私はもう今までのような東京の人では駄目だと思って来ました」
「そうかい」
その時、新七は思わず長話をしたという風で、母の側を離れようとした。立ちがけに、広瀬さんが支那の方へ漫遊を思い立っていて遠からずそれが実行されるであろうこと、その広瀬さんが帰って来る頃にはどれ程この食堂が発展するやも知れないことを母に語り聞かせた。
「そんなら、お前さんはもう未練はないのかい――あの小竹の古い店の暖簾に」
それを聞いて見たいばかりにお三輪はわざわざ浦和から出て来たようなものであった。
お三輪は眼に一ぱい涙をためながら、いそがしそうな新七の側を離れて、独りで公園の蓮池の方へ歩いて行った。暗いほど茂った藤棚の下で、彼女は伜から話されたことを噛み反して見た。