Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

あるおんなのしょうがい

嵐・ある女の生涯

島崎 藤村

Lesen Sie 嵐・ある女の生涯 (あるおんなのしょうがい) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 47.846 Zeichen · 96 Bildschirme

Aozora Bunko

お三輪の母親が勤めたことのあるあの石町の古い店も疾くの昔に無い。そこから分れた小伝馬町の店でも、孫の子息さんの代にはだんだんちいさくなって、家族も一人亡くなり、二人亡くなり、最後に残ったその子息さんまでも震災の当時には大火に追われ、本郷の切通し坂まで病躯を運んで行って、あの坂の中途で落命してしまった……

「お母さん、支度が出来たら出掛けましょう」

と新七が母の側へ言いに来る頃は、お力もひどく別れを惜んだ。池の茶屋ではまた一日の活動が始まりかける頃であった。朝早く魚河岸の方へ買出しに行った広瀬さんも金太郎もまだ戻って見えなかったが、新鮮な魚類を載せた車だけは威勢よく先に帰って来て、丁度お三輪が新七と一緒に出掛けようとするところへ着いた。

「広瀬さんにもよろしく。金さんにもよろしく」

と別れを告げて行くお三輪の後を追って、お力は一緒に歩いて来た。芝公園の中を抜けて電車の乗場のある赤羽橋の畔までも随いて来た。

お三輪も別れがたく思って、

「いろいろお世話さま。来られるようだったら、また来ますよ。お力、待っていておくれよ」

それを聞くと、お力は精気の溢れた顔を伏せて、眼のふちが紅くなるほど泣いた。