Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あらし

嵐

島崎 藤村

Lesen Sie 嵐 (あらし) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 54.007 Zeichen · 108 Bildschirme

Aozora Bunko

庭にあるおそ咲きの乙女椿の蕾もようやくふくらんで来た。それが目につくようになって来た。三郎は縁台のはなに立って、庭の植木をながめながら、

「次郎ちゃん、ここの植木はどうなるんだい。」

この弟の言葉を聞くと、それまで妹と一緒に黒板の前に立って何かいたずら書きをしていた次郎が、白墨をそこに置いて三郎のいるほうへ行った。

「そりゃ、引っこ抜いて持って行ったって、かまうもんか――もとからここの庭にあった植木でさえなければ。」

「八つ手も大きくなりやがったなあ。」

「あれだって、とうさんが植えたんだよ。」

「知ってるよ。山茶花だって、薔薇だって、そうだろう。あの乙女椿だって、そうだろう。」

気の早い子供らは、八つ手や山茶花を車に積んで今にも引っ越して行くような調子に話し合った。

「そんなにお前たちは無造作に考えているのか。」と、私はそこにある籐椅子を引きよせて、話の仲間にはいった。「とうさんぐらいの年齢になってごらん、家というものはそうむやみに動かせるものでもないに。」

「どこかにいい家はないかなあ。」

と言い出すのは三郎だ。すると次郎は私と三郎の間に腰掛けて、

「そう、そう、あの青山の墓地の裏手のところが、まだすこし残ってる。