Japanische Klassiker mit Furigana
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じゅんさじしょく
巡査辞職
夢野 久作
Lesen Sie 巡査辞職 (じゅんさじしょく) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 31.907 Zeichen · 63 Bildschirme
「ソレ見い。何のかのと云うても一知の働らき振りはあの婆さんの気に入っとるに違いないわい。そこで慾の上にも慾の出た婆さんが、出しゃばって来て、あの上にも一知を怠けさせまいと思うて要らぬ指図をしよるに違いない。あれじゃ若夫婦もたまらんわい」
と云ったり、それから後、深良屋敷のラジオがピッタリと止んで、日が暮れると間もなく真暗になって寝静まるのを見た人々が、
「あれは一知がラジオの械器を毀したのじゃないらしい。婆さんが費用を吝しんで止めさせたものに違いない。一知さんも可哀そうにのう。タッタ一つの楽しみを取上げられて」
と同情した位の事であった。
然るにその一知夫婦の苦心の麦の収穫が、深良屋敷の算盤に乗った頃から、まだ一個月と経たぬ今朝になって、その牛九郎夫婦が殺されている……というのは、普通の場合の意外という以上の意外な意味が籠っているように思われるのであった。だから、これは非常に簡単明瞭な、偶発的な事件か、もしくは一筋縄で行かない深刻、微妙な事件に相違ない……といったような予感が、今朝、最初に一知の美しい顔を見た瞬間から、ヒシヒシと草川巡査の疲れた神経に迫って来たのであった。