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Japanische Klassiker mit Furigana

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こうせつきょうほうずえ

巷説享保図絵・つづれ烏羽玉

林 不忘

Lesen Sie 巷説享保図絵・つづれ烏羽玉 (こうせつきょうほうずえ) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 365.120 Zeichen · 728 Bildschirme

Aozora Bunko

「これは、あたしが持って行くから――」

それは、若松屋あつかい磯五より、高音さまへ、とある、あれだった。

客

一

あくる朝だ。

松の影が、たたくように障子に揺れている。朝ももう、正午近く進んでいることがわかるのだ。若松屋惣七は、石のようにむっつりして、寝床からたった。お高は、きのうから顔を見せない。どうしたのだろう? 頭痛でもして、自分の部屋にこもりきりなのか――ちょっと、そう思った。

それにしては、することだけは、きちんとしているのである。夕飯の給仕にも出た。この床も、取っていった。いつものとおり、行燈の燈芯を一本にしてこっちに向いているほうへ丹前を掛けておくことも、忘れてないのだ。

が、考えてみると、そのあいだずうっと無言だったようだ。気分でも、すぐれないのかもしれない。それとも、何か、気になることでもあるのか。そのときは、そう思っただけで、惣七も、べつに気にとめなかったのだが、どうもきのう以来、あのお高のようすがへんなのである。けさひとつ、顔が合ったらきいてやろう――若松屋は、そう思った。

思いながら、彼は、苦笑した。小判魔、というのもへんなことばだが、そういってもいいほど、とにかく、今では、金のほかは何もなくなっている若松屋だ。