Japanische Klassiker mit Furigana
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こうせつきょうほうずえ
巷説享保図絵・つづれ烏羽玉
林 不忘
Lesen Sie 巷説享保図絵・つづれ烏羽玉 (こうせつきょうほうずえ) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 365.120 Zeichen · 728 Bildschirme
「ほんとうに、結構でございます」
龍造寺主計は、かたなの爪びきをつづけながら、また口をひらいた。こんども詩かと思うと、今度は、ことばであった。
「若松屋惣七どのはたずね人の助力など、なさらぬかな」
「それは、なさらないことは、ございませんが、どういう筋あいでございましょうか」
「ぜひわたしに手をかして、この江戸で、人をひとりさがし出してもらいたいのだ」
「さようでございますか。お身内の方でも、行方知れずになったのでございますか」
「いや。さようなわけではござらぬ。さがし出して、この刀に、血塗らねばならぬやつなのだ」
「はい。そうしますと、かたき討ちでございますか」
「仇敵うち――といえば、かたきうちだが、かたき討ちでもない」
このやりとりのあいだも、龍造寺主計は、つるぎのつま弾きをやめないのだ。伴奏入りの会話なのだ。
「すると、どういうことなのでございましょうか」
「人殺しをした者です」
「それでは、御公儀へ、御訴人なすったほうが、およろしゅうございましょう」
「いやいや、公儀へ訴え出ても、むだだ。取りあげにならぬことは、わかっている。その者は、やいばで人を斬ったのでも、毒を盛って殺したのでもないのだ。