Japanische Klassiker mit Furigana
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こうせつきょうほうずえ
巷説享保図絵・つづれ烏羽玉
林 不忘
Lesen Sie 巷説享保図絵・つづれ烏羽玉 (こうせつきょうほうずえ) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 365.120 Zeichen · 728 Bildschirme
ともかく、こんにちの彼をして、この大店のあるじたらしめているゆえんのものは、この生活信条に負うところ少なくないのだった。
磯五は、だまって、そのお針部屋の前を通り過ぎて、奥庭から居間へ上がろうとしていた。
樹のかげに、女の着物がうごいたので、磯五は、足をとめた。それは、多勢いる小間使いのひとりで、見なれない若い女であった。若い女も、そうして近いところで磯五を見るのは初めてであったが、これが旦那様であろうと直感して、固くなって、そこへ出てきた。耳たぶを真っ赤にしている、うつくしい娘であった。磯五は、その顔をのぞくようにして、荒いことばを使った。
「こんなところで何をしているのだ」
「はい」娘は、おどおどした。「笹をとってくるようにとお咲さんにいいつけられまして――」
「笹を? 笹は何にするのだ」
「はい。なにやらお煮物の下に敷くのだそうでございます」
「そんなら、笹は裏にある。こんなところへ来てはいけない。ここは、おもての者以外きてはならぬのだ」
「はい。昨日上がりましたばかりで、まだちっとも勝手が知れないものでございますから――」
「よろしい。行きなさい」
娘がおじぎをして去りかけると、ぱっちりした磯五の眼に、露骨な興味のいろがうかんだ。