Japanische Klassiker mit Furigana
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こうせつきょうほうずえ
巷説享保図絵・つづれ烏羽玉
林 不忘
Lesen Sie 巷説享保図絵・つづれ烏羽玉 (こうせつきょうほうずえ) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 365.120 Zeichen · 728 Bildschirme
それはそれで、面白いことだと、磯五はにっこりして、おせい様の待っている奥の座敷へはいって行った。
おせい様は、灯をみつめてすわっていた。
磯五は、着ている洒落た着物に衣ずれの音をさせて、その光のほんのりしている座敷へはいっていった。
おせい様は、その男ぶりをあがめるような眼つきで、磯五を見た。磯五は、それにはわざと知らん顔をして、おせい様の近くへ行ってすわった。やっと二人きりになったとき、相手の期待に反して、ときどきわざとよそよそしいふうを見せるのが、ますますその女をたまらなくさせるのだった。こうして、女のほうから追っかけて来るようにしむけるのが、磯五の手だった。
「どちらか湯治にお出かけになるというようなおはなしでしたが――」
磯五がいった。おせい様はそれに答えるまえに、お駒のことをきいた。おせい様は、真剣にお駒ちゃんのことを心配しているのだ。
「お帰りになりましたか。たいしたことでなければよろしゅうございますがねえ」
お駒ちゃんのことなど、もうけろりと忘れていた磯五は、びっくりした。
「何です、おせい様、誰のことです」
「あれ、いやでございますよ。お妹さんのお駒さんのことですよ」