Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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こうせつきょうほうずえ

巷説享保図絵・つづれ烏羽玉

林 不忘

Lesen Sie 巷説享保図絵・つづれ烏羽玉 (こうせつきょうほうずえ) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 365.120 Zeichen · 728 Bildschirme

Aozora Bunko

若松屋惣七の声は、水銀を飲んだように、ひしゃげてきた。

「死んでいてくれればいい」繰りかえした。「なぜこんな容易ならぬことをいうのか、お前にはわかっているであろう。わたしは、お前を思っているのだ。わたしという人間は、冷たい人間だが、お前を熱く想っておるのだ。あすにも、いや、きょうにも、あらためて、女房になってくれというつもりでおった。もそっと、こっちへ寄れ」

が、お高は、肩をすぼめて、かえって身をひくようにした。真っ蒼な顔が、いまにも気絶しそうにそって、うしろへ手を突いた。

「何だ。いやなのか。そんなに、わたしが恐ろしいのか。よし。そんなにいやがるものを、いまどうしようともいいはせぬ。しかしお高、その茶坊主はお前の良人かもしれぬが、わたしとお前のあいだも、妻と良人も同然であることを、忘れぬようにな。ははははは、つまりお前には、良人が二人あるのだ」

「どうぞ、そんな、あさましいことをおっしゃらずに――」

「あさましい? こりゃ面白い。何があさましいのだ。男が、好きな女をくどくが、あさましいか」

「でも、わたくしには、いま申し上げましたとおり、良人があるのでございます。