Japanische Klassiker mit Furigana
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こうせつきょうほうずえ
巷説享保図絵・つづれ烏羽玉
林 不忘
Lesen Sie 巷説享保図絵・つづれ烏羽玉 (こうせつきょうほうずえ) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 365.120 Zeichen · 728 Bildschirme
お高は、父の相良寛十郎が少しも母のことを話さなかったのみか、お高のほうからきいても、いつも避けるようにするのが、父の生きているころから、不服でもあり、不思議であった。今でも、そう感じていた。生母のことを詳しく知らないのが、情けなかった。誰かと、しみじみ母のことを話し合いたかった、だから、よく母を識っているという一空さまの訪問は、お高にとって、いつでも歓迎すべきものだった。
ことに磯五といっしょになってからは、まもなくその磯五とこうして別居したり、あちこち奉公した末この若松屋へ来て、近ごろは、またその磯五があらわれてあんな事件がつづいたりして、昔はよく顔を知らない母を想って泣いたものだったが、ここしばらく、忘れるともなく、忘れていたのだ。
そこへ突然、母の遠縁に当たって、いろんな事情を知っているらしい、一空さまという人が現われたのだ。母の人間と、その生活と死とは、すべてこの人が話してくれるであろう。一空さまは、自分の知らない母の顔を見、声を聞き、手に触れ、そして母を恋した人なのだ。何と、信じられないほど不思議なことであろうと、お高は思った。
が、一空さまの用というのは、単純なことではなさそうである。