Japanische Klassiker mit Furigana
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こうせつきょうほうずえ
巷説享保図絵・つづれ烏羽玉
林 不忘
Lesen Sie 巷説享保図絵・つづれ烏羽玉 (こうせつきょうほうずえ) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 365.120 Zeichen · 728 Bildschirme
今でも、いっしょになっているようなものでしょうけれど、ほんとに家へ入れてあげたいと思いますよ」
歌子は、もっと何かいいそうにして、口をつぐんだ。樹立ちの蔭から、若松屋惣七とお高が現われて、庭のむこうを歩いているのが見えて、こっちが黙りこんで静かにしていると、風のぐあいで二人の話し声が聞こえてきた。
「高、歩いておると疲れはせぬかな」
「いいえ、ちっとも、疲れませんでございますよ」
歌子と紙魚亭主人は、ちらと顔を見合わせて笑った。そして、ふたりは、両方からすこしずつ近づきあって、また、聞くともなしに、向こうから風に乗って流れてくる若松屋惣七とお高の話に耳をやった。
「陽にやけぬよう、木の下をあるいてはどうじゃ」
「はい。でも、日向のほうがあたたこうございますから」
「からだのぐあいはどうだな」
「はい。大変よろしゅうございます」
「高、お前はもう若松屋の仕事へは帰らぬ。帰りとうない。というようなことを申しておるそうだが、ほんとうか」
「――」
「黙っておってはわからぬ、ほんとうに若松屋へ帰らぬつもりか」
「はい。わがままのようでございますが、そのほうが旦那様のためにもわたくしのためにもよろしいように思われますでございます」