Japanische Klassiker mit Furigana
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こうせつきょうほうずえ
巷説享保図絵・つづれ烏羽玉
林 不忘
Lesen Sie 巷説享保図絵・つづれ烏羽玉 (こうせつきょうほうずえ) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 365.120 Zeichen · 728 Bildschirme
いっそ母の金など一文も手にはいらないほうが、さばさばしていてどんなに気持ちがいいか知れないと思った。
が、一方そういったものでもなく、母の金は当然受け継いでおいて、磯五のほうこそいかなる方法でか振り切るべきではないかとも、考えられた。そしてそれには財産がきたらその中から、相当の額をやって追っ払うのが一番いい。そういうことにしましょうとお高は決心した。
若松屋惣七とも、たびたび談合した。
「どういうことになるのか、わしにもわからぬ」
若松屋惣七は、珍しく悲痛な調子だ。若松屋惣七が悲痛な調子になると、よく見えない眼が白っぽくきらめいて、顔の傷がくっきり浮き立ってくるのだ。それがいつもお高の哀感をそそって、若松屋惣七の顔を見られなくするのだ。
お高は、この方はやっぱり自分を思っていてくださる。そして自分も、旦那様を愛しているのだ。愛しているとはっきり気がつかないほど、心の底の深いところから愛しているのだ。そんな気がして若松屋惣七の膝へ顔を投げて泣き入りたかったが、そうはしなかった。磯五との関係が白か黒かに決着がつくまでは、じぶんの感情も流れにまかせてはならないし、若松屋惣七のこころもちをも、これ以上突き詰めたものにしてはならないと、とっさに気がついたからだった。