Japanische Klassiker mit Furigana
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こうせつきょうほうずえ
巷説享保図絵・つづれ烏羽玉
林 不忘
Lesen Sie 巷説享保図絵・つづれ烏羽玉 (こうせつきょうほうずえ) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 365.120 Zeichen · 728 Bildschirme
出てみると、もう日本一太郎は、あとも見ずに、急ぎ足にすたすた小屋のほうへ歩き去っていた。
若松屋惣七とお高は、途中で駕籠を拾おうということになって、柳原の土手を筋違御門のほうへ歩き出したが、お高は、父が、あまりそっけないので、若松屋惣七に気の毒でならなかった。
若松屋惣七は、平気だった。生まれのいいことを思わせる、押し出しのきく、立派な老人であると日本一太郎のことを思っていた。ただ何となく飽き足らないところがあるような気がして、それは何であろうかと、若松屋惣七は考えていた。しかし、変わった面白い人物であると好い印象を受けていた。
「よい父御じゃが、勝手なことをいわせてくれるなら、ちとどうも信じ難い気がする、あの人の態度に、そういうところが見えるというのだ。わしには、あの人はわからんかもしらんが――なぜ本名をきらっておらるるのだろう?」
「どうかしているのでございますよ。昔のことを思い出したくないのでございましょうよ。わたくしなどとも会いたがっておりませんでございますもの」
「ふーむ。柘植家の金のことを知っておって、お前を捜し出そうともせず、今までどこで何をしていたものであろう」