Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
こうせつきょうほうずえ
巷説享保図絵・つづれ烏羽玉
林 不忘
Lesen Sie 巷説享保図絵・つづれ烏羽玉 (こうせつきょうほうずえ) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 365.120 Zeichen · 728 Bildschirme
「いや」磯五が、手をあげてとめた。ころがるような、へんにまるい声だ。「いや、なに、驚きました。ちょっと、びっくりいたしましたよ」
あははと笑って、彼は立ち上がった。ふところからきれいに畳んだ手ぬぐいを取り出した。いきなりしゃがんで、お高のこぼした茶をふきはじめた。
「何という粗相だ! これ、おわびしないか――」
それはまるで、じぶんのところへ来た客に、妻の高音が粗相をしたような、もうすっかり主人らしい口調である。
これが、静観にかえりかけていた若松屋に、ぐっと激怒をあたえた。
「お高、ふけ!」
「はい」
お高はおどおどしてかがんだ。磯五が、さえぎった。
「いや、お前はよい。これはわたしがふきます」
「お高、ふけといったら、ふけ!」
「はい」お高は、あなた! と低声にいって、磯五の手から、はげしく手ぬぐいをとろうとした。磯五は、あらそった。ふたりのからだが、近く寄った。惣七は、あわてて眼をそらした。今の、あなたというのが、彼を、突然、いいようのないさびしさに突きおとしたのだ。
「いや、磯屋さん」若松屋がいっていた。「そりゃあもとは、あなたのお内儀だったかもしれませんが、今では、お高は、この若松屋の嬶でございます。