Japanische Klassiker mit Furigana
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こうせつきょうほうずえ
巷説享保図絵・つづれ烏羽玉
林 不忘
Lesen Sie 巷説享保図絵・つづれ烏羽玉 (こうせつきょうほうずえ) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 365.120 Zeichen · 728 Bildschirme
じっさい、お高は、この最近の磯五との交渉や、母のおゆうの遺産受け継ぎの問題などで、多くのいざこざを重荷のように負わされていたのから解放されて、もとのさわやかなお高にさめつつあった。よみがえりつつあった。
恋だの愛だのという心臓はふさがって、いのちは糸のようにほそっても、大きな財産さえあれば、幸福である。それが何よりの慰めになるという人が、世の中にはすくなくないものだが、お高の場合は、そうでなかった。反対だった。
さびしい、しかし、生きいきした光を持ち出してきた眼を壁にすえて、室外に進む夏のけはいを感じてじっと味わいながら、お高は、口をきくのもおっくうで、一日中ただすわっていることが多かった。肩で呼吸をして、苦しそうに、額が汗ばんでいることが多かった。
「もうじき身ふたつにおなりになるのさ」
膳を運んでくる国平が、供部屋へ帰って、佐吉と滝蔵にささやいたりした。
若松屋惣七と龍造寺主計が帰って来ると、お高は、長いことためらっていて、その、惣七の帳場になっている奥の茶室へはいって行かなかった。龍造寺主計が、あの初めて来たときのように、庭を隔てた別棟に落ちつくと、お高は、思い切って若松屋惣七の部屋へ出かけて行った。