Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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こうせつきょうほうずえ

巷説享保図絵・つづれ烏羽玉

林 不忘

Lesen Sie 巷説享保図絵・つづれ烏羽玉 (こうせつきょうほうずえ) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 365.120 Zeichen · 728 Bildschirme

Aozora Bunko

磯五が、顔を光らせて、駕籠のそばにぶらぶらついて行った。ふところ手をして、黙りこんでいた。

お高も、駕籠に揺られながら、黙って、頭は、いま残して出て来た若松屋惣七のことを考えていた。あんなに打たれて、何ともないかしら? なぜあの方は、立ちむかおうとなされなかったのだろう? 悪いお眼が、いっそうわるくならなければよいが――自分のことを、いったい何と考えていられるであろう?

「高音、しばらく見ぬうちに、おそろしく容子がよくなったじゃないか」

駕籠のそとから、磯五がいっていた。お高は、答えなかった。

「おれもまあ、上方のほうで、いろんな人間にもまれて、ちっとは変わったつもりだが――おい、久しぶりに会ったんだ。あんまりうれしくねえこともないだろう。そういやな顔をするなよ」

「知りませんよ。ちっともうれしくありませんよ」

「御あいさつだな。おめえ何か、あの御家人くずれのめくら野郎に、惚れているんじゃああるめえな」

「何という下素なもののいい方です。ちっとも昔と変わっていないじゃありませんか」

「そうかな。これでも、酒だけはよしたよ」

「あら、お酒を? まあ、どうしてよしたの」