Japanische Klassiker mit Furigana
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こうせつきょうほうずえ
巷説享保図絵・つづれ烏羽玉
林 不忘
Lesen Sie 巷説享保図絵・つづれ烏羽玉 (こうせつきょうほうずえ) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 365.120 Zeichen · 728 Bildschirme
さればといってどうすればいいか。
自分一個の道――こう押し詰めて来ると、そこに忽然と浮かび出るあの女の幻。
守人はそれを打ち消すように、たき火へ風を入れた。勢いを得た焔とともに、自責と羞恥が紅潮となってかれの頬をいろどる。
俺はこのごろ、全くどうかしているかもしれない。今まで考えなかったことを考えるようになったが、その機縁も俺にだけはわかっている。しかし、ここまで来たのだ。
もう引っ返すことはできない――この若い浪人、何か事を進めているものとみえる。
「そうだ、やるところまではやろう」
がしかし、ぬぐい切れないで残っているこのわびしさを何とする?
このうつろな心をどこへやろう?
江戸へ出て数年、陋巷にうずもれているあいだに、少壮の剣客篁守人もこうまで弱気になったのか。
病後のせいもあろうが、彼は近ごろ、毎夜のように故郷の夢をみるのだ。眠りに入るとすぐ、満山の緑清冽な小川の縁を、酔っぴて幼児となって駈けまわるのである。
くすぶる火を前に、いつまでもいつまでも守人は庭にたたずんでいた。夕ぐれがはい寄るのも知らずに。
凝った普請だが住み荒らした庵のうち、方来居と書いた藤田東湖の扁額の下で、玄鶯院がお盆をかむって新太郎をあやしている。