Japanische Klassiker mit Furigana
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こうせつきょうほうずえ
巷説享保図絵・つづれ烏羽玉
林 不忘
Lesen Sie 巷説享保図絵・つづれ烏羽玉 (こうせつきょうほうずえ) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 365.120 Zeichen · 728 Bildschirme
唄声を背後に、やがて守人は宵闇の中へさまよい出た。ひやりと横鬢をかすめる水気に、ぱっと蛇の目を差し掛けて、刀の柄を袖でかばった篁守人、水たまりを避けて歩き出した。
この、人が家に納まるころおいに家を出て、いったいどこへ行こうというのだろう?
しとしとと春の夜の小雨が煙っている。
ぬれ燕
とんだあぶねえ二枚目だぜ
真昼間の恐怖は、白っぽいだけに人の背筋へ氷のような戦慄を注ぎ込む。何やら得体の知れぬ力に押えつけられてただしいんと心耳に冴え返るばかりだ。百万千万の視線が、眼に見えぬ槍ぶすまとなって、前後左右と上下に迫って、動いたが最後、ぷすっとどこからでも血が出そうな気がする。
悪熱のようなこの静寂の中に、戸外から舞いこんだ桜ふぶきが悩ましく乱れ飛んでいる。
この一刻は長い。
湯島妻恋坂の影屋敷。
花の吹き込む二階で、いろは屋文次と御免安が、手に汗を握って前方をみつめていると――。
ざ、ざざ、ざ――と襖があき出したが、これは向こう側に人がいるのだろう。いくら怪しい家でも唐紙がひとりで動くわけはない。
とはいえ、この空家にさっきからの人声。さては、鬼が出るか蛇が現われるかと、文次と安は上半身を前へかがめて互いに充分な気配り。