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Japanische Klassiker mit Furigana

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こうせつきょうほうずえ

巷説享保図絵・つづれ烏羽玉

林 不忘

Lesen Sie 巷説享保図絵・つづれ烏羽玉 (こうせつきょうほうずえ) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 365.120 Zeichen · 728 Bildschirme

Aozora Bunko

お高はあれだけよせなかった酒をよしたと聞くと、ちょっと世話らしい興味が動いて、思わずきいた。

「大病をしてなあ。死ぬか生きるかだった」

「どこで?」

「泉州の堺だったよ」

「まあ――」

ちょっと、しんみりした空気のまま、またしばらく黙って歩いた。磯五が、いった。

「あいつ恐ろしくがまんづよい奴じゃないか。見上げたもんだぜ」

駕籠の中から、甲高い声が、走り出た。

「若松屋さんのことなら、もう何にもいわないでください――」

磯五は、声をたてて笑った。

六

日本ばしの通りを行って、式部小路へまがった。町家ならびだ。天水桶と金看板の行列に、陽が、かんかん照っている。磯五は、手をあげて、むこうの一軒をゆびさした。

「あれだ」

紺の暖簾に、いそやと出ている。間口のひろい、立派な店である。客も、出はいりしている。駕籠がとまると、小僧や手代が、うす暗い土間の奥から、旦那おかえりと声をそろえた。

お高は、磯五に案内されて、横手の通用口からはいって行って、すぐに、奥まった一間に通された。あるじの居間らしい部屋だ。きちんと片づいて、贅沢な調度が置かれてある。

せせこましい中庭をへだてて、店のさわぎが、手に取るように聞こえていた。