Japanische Klassiker mit Furigana
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こうせつきょうほうずえ
巷説享保図絵・つづれ烏羽玉
林 不忘
Lesen Sie 巷説享保図絵・つづれ烏羽玉 (こうせつきょうほうずえ) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 365.120 Zeichen · 728 Bildschirme
「――」
守人はひそかに刀の目釘を湿した。
沈黙のうちにまた四、五間。
と、二、三歩前へ出た侍、いきなり守人の往く手に立ちはだかった。
「これ、篁守人、はっはっは、どうじゃ、驚いたか」
守人は立ちどまって静かに傘をすぼめている。
「おい、篁、何とかぬかせ」
侍が詰めよせた。守人はにっこりして、
「うん。そういう貴様は何者か。名をいえ」
「名乗りはできぬ。が、役目をいおう」
「うふふふ、役目はいわいでもわかっておる。捨て扶持をもらって幕府のために刺客を勤むる痩浪人であろう! 拙者はいかにも篁守人、それと知ったらなぜ斬ってかからぬ? 来い!」
侍が提灯を上げた。これが合図。うしろに数人の跫音が迫る。
が、守人は見むこうともしない。
どこを吹く風か、といったふう。
気を焦った長身肥大の侍、足を開きざま、
「やっ!」
抜き打ちにざーあっ! と横なぎ、傘を切った。
がっし!
青い火花が雨に散って、いつのまに鞘を出たか、帰雁の利刃が押して来る。
ぎ、ぎ、ぎ、と鍔ぜりあい。
深夜。
もうここは堀田原の馬場。
久しぶりに一つ帰雁に血膏をなめさせようか。
ぐるりと右にまわって見ると、刀を伏せた黒法師の群れが、はうように慕い寄っている。