Japanische Klassiker mit Furigana
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こうせつきょうほうずえ
巷説享保図絵・つづれ烏羽玉
林 不忘
Lesen Sie 巷説享保図絵・つづれ烏羽玉 (こうせつきょうほうずえ) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 365.120 Zeichen · 728 Bildschirme
「お蔦――とかいったようにおぼえていやす」
「さよう。そのお蔦よ。どこにどうしているかなあ」
「へ?」
「安」と起き上がった文次、「われあ妙う隠し立てをするぜ。てめえをまいたお蔦あ俺が突きとめてあらあ。これからばっさり網を打ちに行くんだが、ま、そこの御用帳をおろして来い」
文次は壁にかかっている帳面を指さした。
月の十日は御下問日
あれだけの人数がどうして音もなく消えうせたのか、それが税所邦之助にはわからなかった。
考えれば考えるほど気が詰まってくる。
ゆうべの方来居の手入れである。
水戸藩の志士が一団二団と分かれて江戸に潜入し、佐久間町の岡田屋、馬喰町井筒嘉七、さては吉原大門前の平松などに変名変装で泊まり込んでいることはとうに調べがついているのだが、顔の識れない連中が多いし、なまりも、耳に付くほどではないので誰が誰だかいっこうにしっぽをつかませない。
そこへもって来て上司からは警戒を厳にするようにとの矢のようなお達しだ。いわれるまでもなく役儀の表、充分に監視したいとはあせるものの、さて相手を知らないのでは暗中の一人相撲、的なしに弓を射るようなもので、警戒しようにも、全然策の施し方がなく、これではてんでお話にならない。