Japanische Klassiker mit Furigana
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こうせつきょうほうずえ
巷説享保図絵・つづれ烏羽玉
林 不忘
Lesen Sie 巷説享保図絵・つづれ烏羽玉 (こうせつきょうほうずえ) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 365.120 Zeichen · 728 Bildschirme
土間をうずめていたはずの履物さえどこにも見当たらないのだ。
乱打に応じて戸をあけたのは、年寄りの下僕だった。家の中は真っ暗で、上がり込んでみると、玄関とおぼしき一間に食客なる若い浪人が蒲団の上に端坐し、奥座敷には庵主玄鶯院が幼児に添寝していた。ただそれだけ。
老僕を引きすえて糺問してみたが、寝ぼけているのか顛倒したのかいうことがさらに判然しない。
広くもない家のこと。
他に隠れ場があろうとも見えぬ。
が、念のためと畳を上げ、壁をたたいて、竈の奥から雪隠の中までほとんど夜っぴてのぞきまわったが、猫の子一匹出て来はしない。屋根裏、床下も見落としはしなかった。
とど朝になって報いられたところは、何らの抵抗を示さない老主玄鶯院の無言の嘲笑と、それから捕方の意気の沮喪のみという税所邦之助としてははなはだ面白からぬ結果であった。
加うるに今朝はまた、幕府方秘密の刺客の一人が堀田原の馬場に死体となってころがっていたとのはなし。
それに、近ごろことに頻々として起こる死に花の一件――人体に根を張って生命を奪う怪しい草花。
「いろは屋はいったい何をしているのだ」
この場所柄を忘れて、独語が邦之助の口をもれる。