Japanische Klassiker mit Furigana
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こうせつきょうほうずえ
巷説享保図絵・つづれ烏羽玉
林 不忘
Lesen Sie 巷説享保図絵・つづれ烏羽玉 (こうせつきょうほうずえ) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 365.120 Zeichen · 728 Bildschirme
帰雁が銀二郎の右肩をかすめたと見えたとき、銀二郎のからだから黒いものがまき上がって、ひらひらと帰雁の刀身へまきついた。
「ちえっ!」と思わず守人の舌打ち。
銀二郎が羽織を脱いで、うしろざまに投げたのである。
さすがは一流に達した名人。
敵の多いわが身と知ってか、下にはちゃんと襷十字にあやなしている。
両手をだらりと下げて、平々然たるものだ。
守人はもう胆がすわった。
ししずに羽織を落としている。
「どうしても、やる気か」
いったのは銀二郎だ。声に揶揄を含んでいる。
「むろんだ。抜け!」
守人は、刀にからんだ羽織を取って、ふわりと遠くへ捨てた。そこらに落ちて、再び足にからんではたまらない。
「うむ。そんなにこの首がほしいか」こういいながら、銀二郎は足もとの石ころを二つ三つ、注意深くけちらした。場のしたくである。
「なあ、篁」
「何だ?」
「おぬしとの手合わせ、久しぶりだなあ。故郷表では、始終わしが稽古をつけていた。あれから、すこしは上達したか。こんなものは場数じゃよ。木剣のつもりでかかってこい!」
「よけいなことを――行くぞ!」
「お手柔かに、だ。はははははは。来いよ、さあ! 来いっ!」