Japanische Klassiker mit Furigana
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こうせつきょうほうずえ
巷説享保図絵・つづれ烏羽玉
林 不忘
Lesen Sie 巷説享保図絵・つづれ烏羽玉 (こうせつきょうほうずえ) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 365.120 Zeichen · 728 Bildschirme
この上の家にはお蔦にとっていやな思い出がある。神田連雀町の閑山の家から、鎧櫃にはいって出て、飯たき久七の間違いで、届けられた饗庭の影屋敷、そこでの恐ろしい記憶は、まだお蔦の心にからんでいた。
で、二、三軒先を行く里好にきいてみた。
「あの、どこへ行くんでございましょう? その姿見の井戸というのはいったいどこなんでしょうか?」
が、里好はそれには答えず、星屑のこぼれるような空を仰いで、ただ坂を上る足を早めた。
お蔦は軽い不安にとらわれざるを得なかったが、今となってはひくにもひけないし、この里好という人についてさえ行けばたいした心配はないような気がする。仮にまたあの家へ行くにしても、何か機械のありそうな影屋敷の内部をのぞいて見ることも、何となくお蔦の好奇心をそそのかすのだった。
里好が振り返った。
「誰が誰だかわからんのが姿見の井戸の底のみそなんだから、あんたも女ということを気づかれんように、なるたけ物をいわずに、いうときには太い声を出して、できるだけ活溌にふるまいなさい。なに、みんな脛に傷もつ連中ばかりだ。たいしたことはない」
そのうちに坂を上りきると、立売坂の中腹に、饗庭家と同じ造りの影屋敷の門が見える。