Japanische Klassiker mit Furigana
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こうせつきょうほうずえ
巷説享保図絵・つづれ烏羽玉
林 不忘
Lesen Sie 巷説享保図絵・つづれ烏羽玉 (こうせつきょうほうずえ) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 365.120 Zeichen · 728 Bildschirme
文次の憤怒と恨みをこめて見た眼を無視して、安はとんきょうに叫んだ。
「ああ此奴です! 此奴だ! 此奴だ! 此奴が水戸の篁守人、顔にも覚えがあるし、肩をしらべれば、傷のあるのが何よりの証拠。――」
おお、そうだ――と邦之助の手が、寝ている守人の肩へ伸びた刹那、もうだめと思ったか、むくりと起き上がった守人の手が夜具の下へ行ったかと思うと、隠していた帰雁が、白刃一閃! おどり出たと見るまに、早くも捕手の一人、血煙立って倒れる。
同時に、文次の手には脇差、部屋の隅にふるえていたと見せかけたお蔦といえども剛の者だ。護身の短刀を手に――ここに深夜、殺剣の乱陣は開かれた。
行燈は消えて真の闇。
捕手の群れを相手に、守人、文次、お蔦の三人がここを先途と立ち働く。
踏み鳴らす足音、打ち込む気合い、魂切る声、火花、白閃――。
そのあいだに四つの影だ、手を引き合うようにしていろは屋の物干から外へのがれ出た。
「やあ、い、いないぞ」
「逃げた、逃げた!」
「おお、安兵衛が斬られている」
「うむ、御免安兵衛が。みごとからだが二つになっているなあ。それにしても守人と文次へ一刻も早く手配りを。