Japanische Klassiker mit Furigana
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ばくまついしんかいこだん
幕末維新懐古談
高村 光雲
Lesen Sie 幕末維新懐古談 (ばくまついしんかいこだん) von 高村 光雲 (たかむらこううん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 9.432 Zeichen · 18 Bildschirme
……というのは貨一郎さんには養母がある。これは柏木家の未亡人で、すなわちお大工棟梁稲葉という人の後家さんであります。この方が、今日でいえばヒステリーのような工合の人で、なかなかちょっと始末の悪い質の婦人。まず一種の機嫌かいで、好いとなると火の附くように急き立て、また悪いとなり、嫌となると前後の分別もなく、纏まったことでも破談にしてしまうという質で、甚だ面倒な人であった。
こういう性質の人を養母にしていた柏木貨一郎さんは、とてもこの縁は一生添い遂げることは困難しかろうと想われたらしい。元来、この貨一郎という人は考え深い人であったから、今度の縁談については、いろいろ深く考えておったものらしく思われる。これは私の後日に到っての想像でありますが、どうもそうと解釈される。つまり、貨一郎氏の肚では、あの養母がいられる間は、いかに発明な婦人を妻としたとても、一家に波が立たずに済もうとも思わず、また添い遂げ得られようとも思われぬ。どうで、添い遂げられぬものなら、一旦、自分の妻となった女であっても、その人へ傷を附けたくない。とこう考えられたものと見える。それで御夫婦の間のことは極疎遠であったらしい。