Japanische Klassiker mit Furigana
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ひらがげんないとりものちょう
平賀源内捕物帳
久生 十蘭
Lesen Sie 平賀源内捕物帳 (ひらがげんないとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.946 Zeichen · 34 Bildschirme
匕首かなんかで一突きに刳られ、あッと叫ぶ間もなく縡れたのにちがいない。この穏かな死顔を見ると、その辺の消息が察しられるのである。
それッ、というので、象の胸先を縦に挽き切り、下ッ引が四人がかりでソロソロと死体を引出す。
地べたへ菰を敷き、象の腹の中にいた通りのかたちに横える。
朝の光で見ると、一段と美しい。透き通るような白い手を胸の傷口のあたりへそっとのせ、空へ眼を向けてホンノリと眼眸を霞ませている。着付でひと眼で知れる。堅気ではない。師匠か、お囲いもの。
菰へ膝をついて、熱心に検証している菘庵へ、伝兵衛、
「先生、御検案は。……殺されてから、大体どのくらい時刻が経っておりましょう」
「何しろこの暑気。それに、風の通さぬ張物の中。はっきりしたことは申しかねるが、まず、ざっと今から二刻から二刻半ぐらいまでの間……」
「すると、大凡、白むか白まぬかのころ」
「まずその見当。……が、いまも申した通り、こういう情況では、死体の腐敗が意外に早いかも知れぬから、きっぱりした断定は下されぬ」
人垣のうしろから伸びあがって死体を覗き込んでいた、重右衛門、
「おッ、これは、清元里春……」