Japanische Klassiker mit Furigana
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ひらがげんないとりものちょう
平賀源内捕物帳
久生 十蘭
Lesen Sie 平賀源内捕物帳 (ひらがげんないとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.946 Zeichen · 34 Bildschirme
「伝兵衛、わかった! 里春を殺したのは、定太郎でもなければ、担呉服でもない。いわんや、植亀などではない。こりゃアやっぱり美濃清の仕業だ」
「そ、そりゃ、いったい、どういうわけです」
「おい伝兵衛、そもそもどういう理由によって象が胸から血を滴らした。……里春は象の腹の窪みの中で死んでいたというから、血が滲み出すなら胸からなどではなく腹から滴るはずだ。このわけが、お前にわかるか」
伝兵衛は、面喰って、
「どうも、だしぬけで、あっしには、何のことやら……」
「なぜ腹から血が滴れないかと言えば、外へ血が滲み出さないように、あらかじめちゃんと支度がしてあったからだ。わしの考えでは、ちょうど血の溜りそうな象の腹の内側を桐油張りかなにかにして置いたのだと思われる。……ところが、美濃清は、象が梨の木坂を降りることをうっかり計算に入れなかった。……天網恢々、象が梨の木坂を降りた拍子に腹に溜っていた血がみな胸のほうへ寄ってゆき、計らざりき、思いもかけない手薄なところから滲み出してしまったというわけだ。上手の手から洩れるというのはこの辺のことを言うのだろう。これから推すと、美濃清は、やはり象の後の脚のからくりを知っていたんだな。