Japanische Klassiker mit Furigana
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ひらがげんないとりものちょう
平賀源内捕物帳
久生 十蘭
Lesen Sie 平賀源内捕物帳 (ひらがげんないとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.367 Zeichen · 36 Bildschirme
飲んでも一向に味がわからない。気がついて見ると何時の間には肉刺を置いて我ともなく愁然と腕組をしている。
隣の吉雄幸左衛門が見兼ねたものか、どうなすった、だいぶお顔の色が悪いようだが、と囁いたが、それにもちょっと頭を動かして頷いたばかり、返事をする気にもなれない。
源内先生は、じぶんが目睹したところと藤十郎から聴いた事実をあれこれと照し合せ比べ合せ、頭の中でしきりに結んだり解いたりしていたが、そのうちに、冬の夜明けのような極く漠然とした希望の光が頭の中へ射込んで来た。
源内先生は、思わず膝を叩いて、
「〆たッ、これでどうやらようすが判って来た」
と、頓狂な声で叫び立てると、急に談笑を止めてびッくりしたような顔で、こちらを眺めている一同に会釈しながら、
「甚だご無礼ですが、実以て拠んどころない急用を思い出しましたから、中座をさせていただきます。その代り、このお詫びとして、後日ある場所へご案内いたし、不思議なものをごらんに入れて各位の心魂をお驚かせ申すつもりでございます。……それにつきまして甚だ申訳がありませんが、提灯がありましたら借用ねがいたい」
と言って、提灯を借受けると、スタコラと出島の蘭館を出て行った。